起業1年目で、最初のハードルとなるのが銀行の口座開設です。
私は会社設立の法務的な書類の提出までは調べていましたが、銀行の手続きのことまで考えておらず、口座開設を断られて唖然としてしまいました。起業しても銀行口座がないと関係会社との契約が難しく、事業を開始することができない事態となります。
みずほ銀行では「起業1年目では、おそらく口座開設の審査で落ちると思いますが、それでもよろしいですか?」。
三菱東京UFJ銀行では「起業1年目の場合は、他の金融機関の通帳があれば受け付けることができるのですが」。
メガバンクでの一コマです。
私だけではなく、起業して口座開設ができない人が少なくないようです。
メガバンクで断られたあとに、いろいろと調べてから申し込みをしたら、3つの銀行に口座開設ができました。特別なことをしたわけではなく、起業1年目でも受け付けてくれる銀行を知らなかっただけなので、お困りの方も紹介する銀行に申し込みをしてみてください。
なぜ、銀行は口座開設を断るのか?
銀行の人から聞いたわけではないので私の推測です。
私は金融機関(証券会社)に10年ほど勤めていました。銀行ではありませんが、証券会社でも同じように口座開設を断ることがあります。
「犯罪収益移転防止法」という法律があり、それを受けて金融庁は以下のような事例を出しています。
疑わしい取引の参考事例 - 金融庁
したがって、これらの事例は、金融機関等が日常の取引の過程で疑わしい取引を発見又は抽出する際の参考となるものであるが、これらの事例に形式的に合致するものがすべて疑わしい取引に該当するものではない一方、これに該当しない取引であっても、金融機関等が疑わしい取引に該当すると判断したものは届出の対象となることに注意を要する。
リンク先には、このあとに疑わしい事例が書かれています。上の引用文には、「これに該当しない場合であっても、金融機関が疑わしい取引に該当すると判断したものは届出の対象」とあります。
要するに、「金融機関が疑わしい取引と判断するものは届出しなさい」ということです。
金融庁の参考事例では、起業1年目は疑わしいと書かれているわけではなく、実体がないと疑われるもの、犯罪に使われることが疑われるもの、と書かれています。
断る理由
振り込め詐欺など銀行口座を使った犯罪が多発しています。そのため、金融機関はなるべくリスクを取らないように、起業1年目の実体があるか分からない状態での口座開設を断っているようです。
メガバンクの場合には、口座数を増やすよりも、なるべくリスクを軽減することに重きを置いているようです。法律自体は、疑わしいときに届出を義務付けるものですが、届出の前に口座開設を受付しないことで、リスクのある口座を開設することを防止しています。
一方で、リスクはあっても口座数を伸ばしたいなど、金融機関ごとに事情が異なります。
どうしても、メガバンクに銀行口座を開設したい方は、1年目は難しいですが、2年目に申し込めば受付けてくれることがあります。1年目は、これから紹介する銀行口座にしておいて、実績(実態)を作りましょう。
会社設立1年目で開設できる金融機関ランキング
起業してから銀行口座がないと、各種申し込みができず、色々と止まってしまいます。そのため、私が口座開設した際に、書類を送ってから開設までの日数でランキングしました。
1位:ジャパンネット銀行
- 口座開設:約3週間
- 口座維持手数料:なし
- 振込手数料:同行内・54円、他行3万円未満・172円、他行3万円以上・270円
- アピールポイント:私のメイン口座。サービスが充実、トークンによりセキュリティが強い。個人事業主でもOK。
2位:楽天銀行
- 口座開設:約3週間
- 口座維持手数料:なし
- 振込手数料:同行内・無料、他行3万円未満・165円、他行3万円以上・258円
- アピールポイント:振込手数料の安さが魅力。振込が多い業種の方におすすめ。
3位:ゆうちょ銀行
- 口座開設:約5週間
- 口座維持手数料:なし
- 振込手数料:他行5万円未満・216円、他行5万円以上・432円
- アピールポイント:月5回まで振込手数料無料。同行内はATMから振り込めば何回でも無料。
さいごに
上で紹介した以外にも、近くの信用金庫などでも口座開設できる可能性が高いようです。
今回紹介した金融機関でも、状況によって断られることもあるかもしれないので、できれば3つともに申し込むと良いと思います。口座開設しても口座維持手数料などは必要ないので無料となります。